ビジネス微分積分(business calculus)

微分の活用


1.株価の変化

 株価の変化が3次元方程式で数式化できれば、微分することにより株価最大値が判明します。

ある会社の株価(y)の動きは、次の条件(x)で決定されるとします。
         
株価が最大になるのは
          
x=-5/3 またはx=5となります。x=-5/3はこの例題では不適当ですので、x=5で極大値=259となります。f(5)=-2x5^3+10x5^2+50x5+9=259


2.賃貸マンションの経営

 利益が数式化できれば、それを微分することにより最大利益を求めることができます。

ある大型賃貸マンション(部屋数250)の月間利益P(x)は、部屋数をxとすると以下の計算式で試算されます。
     
月間利益を最大にするには、何室賃貸したらよいでしょうか?
   
次のグラフで確認できます。
                            

3.2つの損益分岐点

 受注ソフトウェアや建設・土木等の請負プロジェクトタイプのビシネス・モデルでは、自社の体力以上の大きな案件を受注すると赤字になることがよくあります。当然、小さすぎる案件でも固定費が回収できずに赤字になります。即ち、損益分岐点が2つ存在することになります。これらの業種では、”大きいことはいい事だ!”とはなりません。これも微分積分でうまく解析できます。
 ・横軸:売上高ではなく、Business Volume(販売個数、役務の工数等)
 ・売上単価:Volumeが増加すると少しずつ小さくなる(Volume Discount、需要供給)
   【例】1個当たりの売上高=1000-1.1x  (1個売れると0.11%値段が下がる)
  ・売上:  
 ・費用:1次変動費に加えて2次変動費を考慮(プットナム・モデル等)
  費用:
         固定費  1次関数変動費 2次関数変動費
 利益:

この2次方程式を解くとx=71 または 424すなわちBEP1=71、BEP2=424
利益が最大になる個数xは、利益P(x)を微分してP'(x)=-4x+990  x=247.5  248個
x=248個のとき最大利益62513となる


4.売上高の最大化

 あるコンサートの価格(P)と売れる枚数(Q)は、次のように予測できます。
(価格を上げると、売れる枚数は少なくなる、コンサートホールの最大客席数は10,000です。)
売上高を最大にする価格と枚数は?
    

 @価格(P)と売れる枚数(Q)の関係を数式化します。ここでは単回帰分析を用います。
 A売上R=P*Qを計算します
 B売上を微分して売上R’を求め、価格がいくらの時、最大になるか計算します。
                
       
       価格(P)が8,500円のとき、売れる枚数(Q)が1,700枚になり、最大売上高は1,451万円になります。



               ビジネス微分積分のひとくちメモ:微分と積分の関係